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「俺たちはIYから初めて出た世間知らずですよ。」
チーターさん達は同じテーブルを囲むように座った。
「IYはとても規模が大きいですよね。そこから選ばれたなんて。」
言ったのはジャックさんだ。マークはジャッカル。
「選ばれたのか、追い出されたのか。」
そう言って夏原は笑った。
俺たちがいたIY基地はとても大きな基地だったが、本当に酷いところだった。
施設から少し離れたスラム街でストリートチルドレンの健康そうな子供をさらってきているらしい、と聞いたことがある。
金に困った親が金欲しさに子供を施設に売るという話も。
とにかく人数を集めて素質のある子供をどんどん育てている、と俺たちは解釈している。
数撃ちゃ当たるって奴だ。
当事者の俺たちも噂程度に聞いていることなので本当の事はわからない。
しかし物心つくころには既に飛行機の勉強をしていたことは事実だ。
「俺たちはZZの前はOT、その前はYSだったので。」
今度はキツネのフォクスさんが言う。
「OTは1度着陸したことがあります。」
滑走路しかないようなところだった。
「ひどい所だったでしょう。」
ははは、と俺と夏原は苦笑いをした。
フォクスさんが言った三か所はどこも小規模基地だと言う事は知っていたが、小規模という事は細かいところまで目が届くという利点がある。
俺たちのいたIYは規模こそ大きいが、雑多で汚かった。
とにかく人数が多すぎたのだ。
「でもOT、ZZからSTに配属されるなんて、さぞ優秀だと伺えますが。」
「やめてくださいよ。」
チーターさんは顔の前で手を振って困ったように笑った。
3人は俺たちより少し歳上に見えたが俺たちに敬語を使っていた。
敬語を使うなんて面倒だなと思ったが、俺たちが歳下なので「やめましょうよ」とは言えなかった。
しばらく話して俺は席を立った。
「ちょっと格納庫に行ってきます。」
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