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整備士の宿舎C棟に立ち寄り、守衛に「三崎さんはいますか?」と聞く。 「格納庫に行きました。第4格納庫です。」 「ありがとうございます。」 敷地内の大きな道路に出て第4格納庫に急ぐ。 俺の機体がある格納庫だ。 どこかを勝手にいじられたらたまらない。 眩しい西陽に目を細めながら、空から見たら綺麗だろうな、と思った。 第4格納庫に着くと、シャッターが開いていたので驚きと焦りと怒りが一気に込み上がった。 誰か部外者が入って来たらどうするんだ。 しかし格納庫の中は綺麗で清潔で明るく、IYのそれとは比べものにならない。 機体の下に2人いて、ギアを見ているようだ。 三崎さんと、誰かだろうか。 近づいていくと知らない顔だった。 おれの機体の担当の三崎さんの顔は昨日紹介されたので知っている。 「あっカイトさん!」 1人が言うともう1人もこちらを向き、ギョッとした顔で姿勢を正した。 「三崎さんはどこに?」 俺が聞くと1人が慌てて動き、でも決して走らずに「作業部屋に。今呼んで来ます!」と言いながら格納庫の端にある小部屋に行った。 「どうしてあなたたちが俺の機体を見ているんですか?」 努めて冷静に俺は聞いた。 「すみません!とても良く整備されていると、三崎さんが、あの、勉強に見てみろと…。」 若い整備士は頭を下げて言った。若いと言っても俺よりは歳上だ。 「カイトさん、すみません。君たちは下がって。」 三崎さんが現れて、若い2人はもう一度頭を下げて出て行った。 「こういうことは、困ります。」 「すみません。工具は持たせてませんので、見せていただけです。ギアのワックスは少し触らせました。それ以外はなにも触っていません。」 「見せるにしても、あなたの監視下においてするべきです。」 「軽率でした。」 三崎さんが頭を下げる。 「俺は春名です。俺のカイトをよろしくお願いします。」 俺も頭を下げた。 命を預ける意味で、名前を名乗った。 「春名さん、よろしくお願いします。」 「昨日は疲れていて挨拶しかできませんでした。カイトに何か問題はありますか?」
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