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廃坑 国有特別A区画 12月10日 午前11時47分19秒
「相変わらず……」
陰気臭いここに呼び出されるのはもう何度目だろう。そりゃ確かに魔術師たるものカタギの目に触れるような所でソッチの話をしちゃだめのなのは分かるけど、流石にここは酷い。石壁の部屋に間接照明みたいなのがちらほら。あとは長机と簡素な椅子が並んでるだけ。
もともと何かを掘り出してた場所だったらしいけど、金とか宝石とかゴロゴロ転がってる訳でもないし。
「有害ガスの発生で廃坑になったといってもここはれっきとした採掘場。もちろん魔力の根源、流脈だってここで交差しているんです。今回みたいな『特例』でもない限りは入るだけでもいくら踏んだくられることか」
胡散臭い。死ぬほど胡散臭い。
「どうも、なみ……おっと、キャスターのマスターさん」
「わざとらし」
思わず声出た。
部屋の暗がりから男が出てくる。こんなとこに人を定期的に呼び出す張本人、the怪しい男、
しかし、こんな男でも私の計画にとって最も大切なパイプだ。無下には出来ないしこうしてちゃんと集まりにも来ている。
が、
「また一人だし」
「皆さんにも一様に招待状をお送りさせていただいているのですが、そう素直に来ていただけはしないですねぇ。今日も変わらずです」
なんだか自分だけが損しているような気がしてならない。いや確実に損している。
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