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「ともかく、時間ですから今回も情報の交換を始めましょうか」
「情報も何も、こっちは変わらず。特に変わったことは無―し」
先週の集まりから変わっちゃいない、と言うか先週もその先週も私一人なんだからそうそう変わったことがある訳がない。
「そうですか、ではこちらから一つ。セイバーのマスターが現在行方不明です」
「は?」
「現在捜索しておりますが、なにぶんサーヴァント召喚前。魔力を辿ることもできず難航しております。しかし、一週間前の件といい大凡、生きている可能性は低いでしょうねぇ」
全く……、計画の始動からさほど経っていないのにここまで問題が起こるなんて。先が思いやられる。
「ですが、ご安心ください。すぐに次の参加者を募る予定ですので計画に変更はございません」
本当だろうか。
「ううん」
「何か?」
「何でもない。じゃあ、私もう帰るから」
「もう帰られるのですか?」
もうここには用はない。
そんなことは私の知ったことじゃない。私は私のやることを。やらなければならぬことをするだけだ。他人の心配なんて。
『他者への心配は重要なことだよ。特に『こんな』時代じゃ、ね』
うるさい、あなたはそうかもしれないけど、私にはそんな心の余裕はないの。
『じゃあ、余裕のないマスターに金言を、』
それもいらないから。
何も、私に救いなんて。
微笑んでいるのか、面白がっているのか。そんな生暖かい視線を引きちぎるように私は薄暗い地下を後にした。
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