夏の星空に咲く願い

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夏の星空に咲く願い

 ゴールデンウィークの最終日。  映画を観た帰りの喫茶店で、唐突に満里奈はこう言った。  「ねぇ 今年こそPLの花火大会行こ!」  「まだ、春だぞ」  僕は戸惑いを隠し、苦笑混じりに答えた。    PLの花火大会は、僕らの地元である大阪府富田林市の一大イベントと言っていい、日本有数の巨大花火大会である。  毎年8月1日に行われ富田林市だけでなく、近隣の市どころか気象状況によっては、奈良県・兵庫県からも見ることが出来る。  「だって去年は、神戸のイタリアレストラン予約したから、とか言って行けなかったんだもん。別に嫌じゃなかったのよ。凄くオシャレだし夜景は凄く綺麗だったから、敏明君の事惚れ直したぐらいなんだから」  満里奈はいい終わると上品にコーヒーを啜る。  僕の苦笑が照れ笑いに変わる。  彼女とは学部は違うけれど同じ大学で、僕は教育学部、彼女は薬学部だった。  そして彼女と付き合い始めたのは去年の5月半ばを過ぎた頃。 それまで同じテニス部に所属はしていたが、挨拶をする程度だった。  それが、ふとしたことをきっかけに交際が始まったのである。  僕は良く一人で映画を観るのだが、彼女も良く観るらしく。     
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