プロローグ

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「なに描いてるの?」 唐突に話しかけられて、俺は顔を上げた。俺より少し幼い子が、手元のスケッチブックを覗き込んでいた。そして、俺の絵を見るなり、その子は目をキラキラさせて言った。 「わぁー!すごい!あなたが描いたの?」 「う、うん」 勢いに押されて、素直にうなずく。 「すごい!あなた絵がじょうずね!」 その子が笑う。綺麗な黒髪が揺れた。その子の瞳は、俺の絵に釘付けになった。 でも俺は、俺の絵を見てうれしそうに笑う、その子に釘付けになった――――。
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