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「そんなことは知るか…俺はラルパに用がある。だが、このままじゃ俺たちは自動的にラルパを通り過ぎ、船に積まれる。なら逃げるにも抵抗するにも、列車を奪う方が手っ取り早い。」
辺りはざわめいたが、しばらくすると、一人の奴隷が輪の中から出てきて、ノウェルに鍵を渡した。
「機関室は一番先頭だ。そして、これは倉庫車両の鍵だ。そこに、アンタの取り上げられた武器があるはずだ。使ってくれ。」
「あんた、何でそんなものを?」
「奴らに捕まる時くすねてきた。」
「成る程…アンタなら此処を任せれそうだ…」
ノウェルは周りを見渡した。
「助かりたかったらコイツの指示にしたがえ。俺は列車を奪いにいくが、アンタらを盾にされちゃ意味がない。自分の身は自分で守れよ!」
そう言い捨てて、ノウェルは倉庫車両に向かって走り出した。
◇倉庫車両
倉庫車両には、荷物がごった返していた。たぶん倉庫というよりは物置、投棄場所として活用されているように見えた。
「……っと。あったぞ!俺のガンブレード。」
数分かけてようやく見つけた、自らの獲物を掲げる。
「…『オーバーレイ』…やっと見つけた。」
すると扉が勢いよく開いた
「キサマ!そこで何をしている!」
「大人しく武器を下ろせ!」
いきなり敵のお出ましだ。
ノウェルはそれでも、緊張感もなく溜め息をついていた。
「全く…タイミング良いのか、悪いのか。」
相手は防具を着て、レーザーポインタ付きの銃の二人組。
こちらはほぼ普通の服で、武器はガンブレード。
勝ち目はハタから見れば無い。
だが、ノウェルは笑っていた。
「逃げるなら今のうちだぜ…」
左手でガンブレードを持ち、肩に乗せながら右手で煽る姿は、自然体の構えというよりは、むしろ意図した「挑発的構え」である。
「貴様ァ!死ね!!」
挑発に乗った敵は銃の引き金を引きかける!すると、
シュン!
風の過ぎ去ったような音と共にノウェルがぼそりと一言。
「おせぇーよ…」
それは一瞬だった。
気付くと、もうその二人は地に伏していた。
「ちょっとはしゃぎすぎたな…急ぐぞ、リヒト。」
『合点!』
倒れる商人達を尻目に、ノウェルとリヒトはこの場所を後にした。
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