Ⅰ*奴隷列車の攻防

3/11
前へ
/119ページ
次へ
「さてと…」 無事逃したと確信した青年は不思議な大剣を構え、商人達に向き合う。 柄の部分はまるで日本刀を思わせる装飾だが、鍔の部分からひとまわり大きいリボルバーのようなシリンダーが手前よりに設置され、本来はそこから銃口へと伸びる部分が巨大な刃となっている。弾倉を叩くハンマーはレバーのようになっている。 青年は左手で銃を持つように人差し指をトリガーにかけ、他の指は普通の剣を握るような独特な持ち方をし、左肩に載せる。 そして不敵に、右手で敵を挑発するように手招く。 「さぁ。来いよ、奴隷商人ども。」 しかし… ドスッ!! 後頭部の鈍痛とともに、青年の意識が遠くなる。 そう、背後にも目の前の敵の仲間がいた。 「クソっ…他にも…いたのか…」 呟きながら体を砂に任せ、目の前が暗くなっていく。 こんな…ところで… 俺は…あの人の為にも… ここで…倒れる…わけに…
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加