Ⅰ*奴隷列車の攻防

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=================== 『ねぇーねぇさま、あの星はなーに?』 雪が舞う丘に、幼い灰色の髪の少年と翡翠色の長い髪の少女が空を見上げ、一際輝く星を見上げていた。 雪の結晶がしんしん降る丘は月明かりで照らされ、銀色に輝いている。 『あれはアルタイル。隣りがヴェガよ。ふたつの星は仲良しなの。』 『ぼくとねぇさまとおんなじだ!』 『ふふふ、ホント。同じね。』 空から落ちてきた星のように、キラキラ煌めく雪の結晶は、翡翠の髪の少女の頬にあるアザを微かに濡らす。 灰色の髪の少年は寝そべった。 雪で湿った地面に頭をつけて、つめたっ、と叫ぶ少年の頬にもアザがあった。 『あ、流れ星だ!』 すると、灰色の髪の少年は祈りを捧げた。 『何を祈ったの?』 数秒間の沈黙のあと、翡翠の髪の少女が少年の顔を覗き込んだ。 『えーとね……』 少年はすくっと立ち上がり、少女に向かってニカっと笑った。 『ヒミツ!!』 灰色の髪の少年は照れ臭くて言えなかった。 〈いつまでも、姉様と一緒にいれますように……〉 そんな未来を、星にお願いしたなんて。 しかし、その願いが…… 星に届くことはなかった……
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