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そうだ…あれから13年…
そう、13年の月日が経ったんだ。
ねぇ……
ねえって……
『ねぇ……起きてよ!!』
「んぁ?」
青年は、まばゆい光に起こされた。
眩しい…と言わんばかりにフードを目深に被る。
しかし、青いローブに黒いタンクトップのインナーを着た青年は渋々、重いまぶたを開けた。
瞳は右目が水色の晶眼、左目が緑のオッドアイ。
しかし、フードのせいで顔の表情までは判りかねる。
「おい、リヒト。ここはどこだ?俺の記憶が正しきゃ、お前はあの追われてた子を安全なところまで案内してたはずだが?」
『もちろん、安全なところまで案内したさ。それで戻ってみれば、返り討ちにあった友達が列車に乗せられるじゃないか。というわけで助けに来たってわけ。』
光り輝く妖精から列車というワードを聞いて、青年は自らの身体で、この空間が小刻みに揺れている事を気づいた。
辺りを見渡すと、周りは荷物に覆われていたが、物陰から大勢の人の気配を感じた。
「ちょっと調べてみるか……」
青年はリヒトをローブのポケットに入れて、揺れる列車の足場に気をつけながら立ち上がった。
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