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◆奴隷運搬用列車・ネオアルゴ0765
驚きを隠せなかった。
何故なら、そこにはボロボロの服を着て、ガリガリに痩せこけた老人や、薄汚れた少年が膝を抱えて座っていたり、死んだ魚のような眼をして寝転んでいたからだ。
「鎖で繋がれ、服もみすぼらしい。間違いなく奴隷だが、こんなに集められてるってどういう事だ?」
青年は一人の小麦色の肌の黒髪の煌晶人の男性に駆け寄った。
「おぉ、お前も捕まったか?」
「捕まった?」
青年は首を傾げた。
「ここは奴隷になるために捕まった煌晶人の墓場だ。俺たちは……売られるんだよ……」
そうつぶやくと、男はそっぽ向いた。
「まさに奴隷運搬列車…ってわけだ。」
フードの奥の瞳は列車の進行方向、つまり先頭車両の方の扉をみつめていた。
「にぃちゃん、変なマネはやめた方がいいよ。」
すると別の煌晶人が青年の意図を察して、止める。
「武器も無いくせに、何をする気さね。」
「武器?武器なら……」
青年は自分の背中にあるであろう武器を取ろうとした、しかし…
「……あれ?」
背中にあるはずの武器はすっからかんだった。
「な、ない!?俺の武器!!」
「きっとあんたも取られたんだ。」
「ちっ、厄介だな…」
先頭車両の方の扉の窓を覗いてみると、見張りがふたり……他には誰もいなかった。
「…でもまぁ……やるしかないな。……」
青年はつぶやくと、振り向き、奴隷となった煌晶人達に高らかと言い放った。
「おい…アンタら、助かりてぇか?」
青年は、自分の企てた作戦を皆に伝え始めた。
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