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冷静な自分が頭から抜けて、少し離れたところで馬鹿な身体を突き放した目で見下ろしてるみたい。こんなのわたしじゃないって思いたいのか。特別な人の前で醜態を晒したどうしようもない自分。
…でも。あれも本当のわたしなんだ。高城くんと二人の時も、こうして沢山の人たちと悦びを分かち合ってる時も嘘の姿なんかじゃない。どっちも矛盾なく両方わたし。
だけど今はそんなこと、考えたくなんかない…。
「んっ…、あ、あぁ…っ!」
びくびくっ、と痙攣する。全身でぐったりと息をするわたしを誰かがひっくり返した。わたしは横を向いて目を閉じた。もう、どうでもいい。彼に見られていようがいまいが。
今更取り繕えることなんて何ひとつ…。
「夜、まだまだだよ。ここにいるみんなの気が済むまで頼むよ。…ああ、可愛いなぁ、この子って本当に」
「感じやすいんだよな。こんなに敏感に反応して…」
わたしはため息をつき、身体の力を抜いてされるがままに任せ、心の表面にあった錆びついたシャッターを力任せにがん!と下まで思いきり降ろした。
意識が薄らいではっきりものも考えられない頭と思うように動かない身体。支えてバックヤードに運ぶ二人の黒服は双方とも彼じゃない。そのことにとにかく安堵して目を閉じて身体をもたせかけると、会員の目のない片隅に連れていかれて悪戯されそうになる。
今日はそんな気分じゃないのに。背後から脇に腕を差し入れて持ち上げられて、もう一人が前に回ってしゃがんでわたしの脚を開かせようとする。我慢出来なくて思わず身を捩って顔を歪めた時奥の部屋のドアが開いた。
「…おいこら。そいつ、休ませてやれって言ったろ。今日はもう充分じゃないか、あんなに…。連れて来いって言ったらさっさと連れて来い。全く、ちょっと目を離すとこれだから」
「あっ、…はい、すみません」
二人は急に身体を強張らせた。
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