第11章 そのままの君でいて

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他の大抵の黒服の子たちの場合なら大方、あまりにも女の子とする機会が多すぎて自分の彼女と揉めて上手くいかなくなるか、決まった相手がいなくても欲求は満たし放題だから特別必要を感じないか、まぁそんな理由だろうけど。 高城くんの場合、見るからに潔癖そうだしクラブの女の子たちで欲求を解消してる気配も殆ど感じられないから、むしろいろんな変な場面を見過ぎてお腹一杯、性欲が減退して女性不信に陥っちゃったのかなと見当がつかなくもない。わたしとしたのはあまりと言えばあまりにもあからさまな誘惑に不本意に負けた結果の成り行きで、何となく断ち切れずずるずると続いてるだけなのかも。 さして女好きとも思えない彼がわたしと関係を持つことの理由をそんな風に勝手に推測して納得してた。だから前回、クラブで男たちに卑猥に弄ばれてる姿を目撃された後、潔癖な彼は冷水を浴びせられたみたいに我に返って淫乱なわたしと距離を置き始めるんじゃないかなと漠然と覚悟を決めていた。 まあそれは致し方ない。あんなところをつぶさに見てしまったら今まで通りの気持ちで接するなんて出来ないって言われてもしょうがないってわかってる。やっぱりビッチで男なら誰でもいい女なんだって改めて思われても文句言えない。だって、事実だし、それが。 なのにどういう訳か高城くんのわたしに対する態度は全く変化がなかった。それまでと同じように丁重に、気遣うように優しく接してくれる。 そのことがわかった時さすがにちょっと感動はした。でも冷静になって考えれば、もともと彼はわたしがこういう奴だってちゃんと承知してる筈だ。クラブでの行状は今に始まったことじゃない。わたしが彼を認識するようになったのが比較的最近だから、見られてることを意識するようになってから日が浅いが。 当然それよりずっと以前から向こうはわたしがしてること、ちゃんと目撃している筈だ。出張デートの時はたまたまわたしがされることを嫌がっていて彼がそれを憤り庇う、って構図になってたから何となく被害者的な感じになってたけど。 本来の普段のプレイが行われてたら悦んで意識が飛ぶくらい何度もびくびくいくわたしをそのまま彼の前に晒す羽目になるはずだった。そのことをお互い当たり前と思って特に何も感じなかっただろう。 それに、思い出した。確かこの前会った時に高城くんはわたしとするのは初めてじゃない、と衝撃の告白をしてきたんだ。
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