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ザ・ドは二階の桟敷席に座り、下で繰り広げられている舞踏が
現実味を欠いた虚像のように映ってmその中を時間の流れが吹き
抜けていくままに身を任せていた。
「ザ・ドさまですか?ザ・ド様ですよね」と声をかけられ、振り
向いたザ・ドの前に見知らぬ女性が立っていた。
「ザ・ドさまですよね」と再びその女性が尋ねてきた。
「そうです、ザ・ドですが・・・」と、心が離れている状態で
ザ・ドは答えた。
「ザ・ド様、私はヤーモモ様からこれをお渡しするようにこと
付かってまいりました」と、一片の紙切れを手渡し、そそくさと
離れていった。
ヤーモモからの伝言?ザ・ドは、手の動きももどかしく感じながら
急いで紙きれを開いた。
「今晩九天時に私の部屋で待っていてください、部屋には鍵は
かけていません」
ヤーモモが書いたと思われる走り書きではあるが優雅な筆使いで
書かれていた。
ザ・ドは、紙切れをポケットにしまい込み、しばし考えていたが、
意を決したように立ち上がった。
そして、ザ・レの姿を探すために一階へ降りていった。
ザ・レは、ミ・シーと並んでソファーに座っていた。
ザ・ドは、ザ・レに近づきながら、手招きして、引き返してザ・レが追
いかけてくるのを待った。
「ザ・レ頼みがある」と、切り出した。
ミ・シーがこちらを見ているが、近づきがたい雰囲気を察して座った
ままこちらを見ている。
ザ・ドは今夜ヤーモモに会うための口実を設けるために協力して
ほしい旨伝えた。
「僕だけ消えるのはおかしいから、口実を設けるため協力して
ほしい、何か良い手はないでしょうか?」
「剣龍会の連中と酒を飲みに行くというのはどうでしょう?」
「うん、それはいい手ですね」
「私とザ・ファー、ザ・ラー兄弟は最後まで付き合うが、ザ・ド様は
酒はほどほどにして途中で抜け出す。お帰りは何時になるかわからない
でしょから、研究室の窓の鍵を開けておきます」
「ありがとう、恩にきます、ザ・レ」
「どういたしまして、ザ・ド」
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