蔵の扉半分

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「おい何すんだよ、相変わらず心配性だな」 「ダメだって!住職に知らせて!」 「わーったよ、凛のいう通り箱に戻して、爺さんの所に持って行くから」 伊織が素直に応じてくれたので安心して巻物を渡すと、直後にニヤリと口角が上がり、スルスルと床に紙が広げられた。 「戻すって言ったじゃん!!」 「――シッ、黙って!なんだこれ……」 中身は違う巻物の名前が書いてあるだけで、マトリョーシカを開けた気分だった。  伊織はガサゴソと箱の束を探り、お目当ての物を見つけると、開けようとしたので慌てて止めに入る。 「家にお菓子とアイスティあるから早く来て!」 腕を引っ張ってみたがビクともせず、好奇心に満ちた目は忠告を聞き入れそうになかった。 「凛後ろに下がってろ」  万が一の為か、浦島太郎でも連想したのか、私を後ろに下がらせゆっくりと細長い木の箱を開けると今度は古びた紙に地図が描かれていた。  パット見は中世のお城――というか、その地区全体と周辺の村の絵にしか見えない。 何語か分からないアルファベットが城の隣に書かれており、左端には紋章のようなマークが印されている。 「……何だろうこのマーク」 「剣と犬かな」 「いやなんか狐っぽくも見える……神社とかの入口にいるような」  どう見ても宝のありかには見えないし、もう一つの巻物の箱には札までつけてあり縁起も悪そうだ。 「なーんだ、せっかくお宝の地図でも見つけたかと思ったのにカビ臭い古紙だったな。ここ日もあまり入らねーからちょっと広げて干しておくか」  お寺で保管してる仏像を磨いたりしてるので、巻物も扱いにも慣れてるのか陰干しするように上から吊るし、二枚を並べるとウチでおやつを食べる為蔵から出た。  日も沈んできたのでお爺さんが様子を見に来るかもしれないのに、図々しく何個も食べ帰ろうとする伊織にハッとなって声をかけた。 「ねぇ伊織……差し入れのタッパーそのままにしてきたし、卵焼きまだ残ってたよね」 「分かった!回収して家に戻るから安心しろって」 その言葉にホッと胸を撫で下ろしたが、翌朝になっていつものように迎えに行くと、住職の態度がおかしいことに気づいた。
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