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「やっと追い詰めたわ」
私はそう言ったはずなのに、彼はなぜか恍惚の笑みを浮かべていた。
「わざわざ君から俺に会いに来てくれるなんて……感動だよ」
惚けたその顔が腹立たしい。
なぜなら、こいつは私を殺した張本人だからだ。
そう。つまり、私は今、死んでいる。幽霊なのだ。
「人を殺しておいて、何で笑ってられるのよ! 今まで鍛えてきたポルターガイストで、アンタを地獄送りにしてやる!!」
「殺す? 冗談よしてくれよ」
「冗談なんかじゃないわよ! だってこうして私は幽霊に」
「君は幽霊だけど、君の体は生きてるじゃないか。ほら、あそこで男と歩いてる君がいるだろう?」
ハッタリかとは思ったものの、一応後ろを振り返る。すると、目の前には、私の瓜二つの女性が、私の生前の彼氏と仲睦まじく歩いていた。
「……どういうことよ! 私は死んだはずでしょ!?」
「いいや生きてるよ? ただし、魂は別物だけどな」
「……え?」
どうして私が別人の魂と入れ替わって生きているのか。そして、この男が何故そんなことを知り、そもそも幽霊である私が見えるのか。幾つもの謎が頭の中をぐるぐるぐるぐる回っていた。
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