ガール・ミーツ・ボーイ

6/31
前へ
/1672ページ
次へ
 何度もこの絵本を読んでほしいとせがむ私に、父は涙ぐみながら言ったものだ。 「菊野は、何故こんな悲しいお話が好きなのかな?  ……パパも、読んでて泣きたくなるから、もっと他の楽しい本にしない?」  涙混じりの懇願をガンとして聞かず、いつもこの本を読んでもらった。  その度に悲しがって泣く父の頭を撫でて慰めた。  マルコとジョンを、私が幸せにしたいと本気でこども心に思っていた。 「パパ、私ね、大きくなったらふたごのママになりたい。  ふたごにマルコとジョンて名前を付けて、いつまでも楽しく仲良く幸せに暮らすの。  そうしたら、この子達も幸せになれるかな?」  私は、結婚してからもその願いを持ち続けていたのだ。  私の夢は幸せなお嫁さんになる事と、ふたごの男の子のママになることーー
/1672ページ

最初のコメントを投稿しよう!

453人が本棚に入れています
本棚に追加