愛しては、ならない

ガール・ミーツ・ボーイ

　結婚してすぐに妊娠したけれど、ふたごでは無くて大いに落胆してしまった。
　悪阻が酷く、食べては吐いての繰り返し。
　待ち望んでいた赤ちゃんはふたごでも無いし、何故こんな辛い思いをしなくてはならないのかと毎日泣いていた。
　入院をすすめられたが、ひとりで病院のベッドに縛り付けられるなんて嫌、と駄々をこねて、その我が儘を通してしまった。
　お腹が目立って来ると嘘のように悪阻は治まった。が、お産が近付くにつれ、心の中は恐怖で一杯になっていった。
　自分の体の中から人間が出てくる。
　それは、どれほどの痛みなのだろう。
　狭い道を通ってくる間に赤ちゃんの体が傷ついたりしないのだろうか？
　プレママスクールでお産までの心構えと準備の話しを看護婦から聞いても、不安は増すばかりだった。
　私などに産めるのだろうか、とさえ思った。