453人が本棚に入れています
本棚に追加
仕事の忙しい悟志は、陣痛からお産まで付き添うことができなかった。
母が側について腰をさすったり、言葉を掛けてくれたのがとても有り難かった。
だけど、身体を千切られてどこかに飛んでいきたいのに何処にも行けずに縛られている様な苦しみに、私は絶叫した。
「あまり騒ぐと体力が持ちませんよ」
「力を抜いたほうがお産が進みますよ」
と、看護婦さんに言われたけれど、私は痛みに叫ぶしか出来なかった。
こんな苦しみが続くなら、もう死にたいと思ってしまった。
そうして丸二日間陣痛に苦しんで、ようやく生まれたのが祐樹だった。
最初のコメントを投稿しよう!