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「も~真歩先生、昨日からセクハラチックだよ?
悪いけど俺、酒癖の良くない女の子は遠慮したいから。
さて~行ってくるね~」
祐樹はカウンターの椅子からストンと身軽に降りて、ランドセルを掴みさっさと出ていってしまう。
慌てて玄関まで追いかけたが、祐樹は既に遠くまで歩いていた。
溜め息を吐いてドアを閉めると、階段を降りてくる足音がして、剛だ、と私は身構える。
「おはようございます……」
低い涼やかな声が背後から聞こえて、振り返ろうとすると彼の長い腕が身体に巻き付いてきた。
途端に心臓が跳ね上がり、触れられた処が熱く熱を持つ。
「菊野さん、寝不足で貧血気味じゃないですか……?」
彼が耳元に小さく囁き、私の頬に指で触れる。
(――だめよ――)
甘く蕩けて、彼に身を任せてしまいそうになる自分を必死に押し止め、奥歯を食い縛り彼の腕をほどいた。
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