愛憎

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「よーし、じゃあ今日はここまで――。来週にテストやるから、先生が言ったところをちゃんと復習すれば、80点は取れるはずだ――。 皆、ちゃんとやっとけよ――」 抑揚のない、聞き取りづらい声で教師が言うと、教室中からブーイングが起こった。 程なくチャイムが鳴り、号令と共に生徒たちは起立して挨拶をし、それぞれ騒がしく帰り支度を始めた。 俺はどうにか欲を抑え込み、ふう、と溜め息を吐いてスマホを取り出し、菊野のアドレスを見詰めて画面に触れようとするが、どんな言葉を打てば良いのかと迷っている内に森本がにやつきながらやって来て俺の目の前に立った。 俺はカバーを閉じて、彼を軽く睨み付けた。 「……何の用だ」
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