愛憎

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森本は目を見開き、海外ドラマの役者みたいな大袈裟なしぐさで両手を広げ、驚いて見せる。 「な――んだよ剛!なんかご機嫌斜め? 俺、なんかしたか――? そんなに怖い目で睨むなよ――っ」 「……もともとこういう目だ」 確かに、彼が俺になにかをしたわけではない。 だが何故だろう。こいつを見ているとムカムカが止まらない。 森本は、そんな俺の心中など全くお構いなしで更に近づき、肩を抱いて来る。 思わず震えてしまった。 いきなり触れられるのは好きではないのだ。 「や――、そういう苦み走った表情もイケメンだけどさ―― 怖い顔ばかりしてたら女子に怖がられちゃうぞ!」 (――知るかよ……そんな事……どうでもいい) そう怒鳴り付けてやりたかったが、学校で騒ぎを起こしたくない。 俺は仕方なく、無理矢理に曖昧な笑みを貼り付けた。
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