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すると、クラスの何人かの女子が笑いながらこちらにやって来て、馴れ馴れしい口調で話しかけてきた。
「なあにい――?二人ともケンカ?」
「こわい――!」
怖い、とか言いながら全く怖がる様子ではなく、何がそんなに可笑しいのか知らないが、クスクス笑い女子同士で抱き合って媚びるような視線を向けてくる。
俺は、その様子に実の母親を思い出した。
俺に全く構わず、そこに居ないかのように振る舞っていたあの女は、父以外の男を家に連れ込む事があった。
そんな時、いつも押し入れの中へと追いやられていたが、隙間から見えた母のねっとりとした男に媚びる眼差し――
あれがこの目に焼き付いている。
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