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「何、そこは僕と君の弁舌の力があれば何とかなるだろう。
心配なのは、一カ国に束ねた時に、不備があってはいけない。そこでどうだろう、君と僕とで世界を二カ国に分割し、お互い競い合うようにして技術力の向上などを図れればいいんじゃないか?」
「それはいい、そうしよう」
E氏とW氏はそう決めて、決議案を提出した。
紛糾はしたものの、結局は世界を二カ国に分けて統治する事に決まった。
「さて、どうやって分割しようか。不平等があってはいけない」
「そうだ。これまでの戦争は資源や領土などを巡って繰り広げられてきた。そこに不平等があっては僕らの国の間で戦争になってしまう」
散々シミュレーションしたが、結局は上手くいかず、最終的には
「グリニッジ天文台の経度0の線を挟んで東をE氏が、西をW氏が統治する」
と言う事に決まった。
W氏はウキウキとしていた。出世欲の強い事は自認していたが、まさかこうして世界の半分を統治出来る立場になれるとは!
新しく用意した総統の、自分の部屋。その中央に位置するいかにも高そうな椅子――玉座と彼は密かに呼んでいる――に腰掛けてご満悦である。
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