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偉大な総統閣下にこの薬を服用して頂き、未来永劫、この国の繁栄を導いて頂きたく同封致しました!」
要するに、私は死ぬ事も許されないし、無限に働き続ける事ができるらしい。お付きの人間が私が薬を飲むのをじぃっと見ている。飲まざるを得ないじゃないか。
おかしい。絶対におかしい。私はこんな事など望んでいなかったはずなのに。
苦しみの日々。後悔を重ねながら仕事をしている内、悪魔的な考えがW氏の頭の中を過ぎり始める。
それは禁じ手だ。絶対に取ってはいけない手段だ。駄目だ、私。駄目だ、絶対。
いや、私が解放される為だ、致し方ない。しょうがないよ、うん。
最終決断はあっさりと下された。
W氏が解放される唯一の手段。
それは、E氏の国との全面戦争だ。
そう、総統という立場に疲れたW氏は、己のその地位を投げ捨てる為にE氏に戦争をふっかけ、そして負けるつもりでいるのだ。
手っ取り早い話、己に課された責務をE氏に擦り付けようと言うのだ。
極力手を抜いた、勝つ気どころか負ける気まんまんの、史上最低な戦争の幕開けである。
W氏は戦線に散々嫌がらせをした。
武器の配備が行き届かないよう配慮した。兵站が少なく届くように手配した。補給が滞るように尽力した。
戦争はあっという間に終わるはずであった。
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