世界を半分手に入れた男の話。

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世界を半分手に入れた男の話。

 地球は疲弊していた。  戦争、貧困、不況。ありとあらゆる問題が一度に起こり、複雑に絡み付き、更に各国の思惑がそれをややこしくしていた。  誰もがそう気付いていながら、しかし己の利益の為にどうする事も出来なかった。  国連本部の廊下で、有力者として知られるE氏とW氏が話をしていた。 「W氏、この状況をどうやって打破したらいいだろうか」 「E氏、それは何度も話してきた事じゃないか。国連がどんなに頑張ったところで、それぞれの国の人間が、首長が好き勝手やるわ、ルールは守らないわ、文句は言うわでまともに統制なんて出来なかった。そうだろう?」  W氏の指摘はもっともであった。何せ国連には強制力がなかった。軍事力を持っていても、『国連の言う事を聞かせる為』に動かす事は出来ない。経済制裁をしようにも、財布の紐を握られているのは国連の方だ。  E氏はしばらく悩んでいたが、何かを閃いた風にW氏を見た。 「そうだ、国連が国連だから駄目なんだ。一つの国家として束ねれば、国内の紛争解決に軍事力が使えるし、税金を直接吸い上げて活動費に充てる事も出来る!」 「E氏、それは良い考えだ。しかし皆がそれで納得するかな?」     
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