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その人は本土を飛び立ち彼の地へ向かった。 時期を問われれば 本土ではまだ桜の蕾が震えている頃であろう。 その人が到着すると天は何を思ったか知れぬがシトシトと雨を降らせた。 その日その人はホテルのプライベートビーチに添えられたデッキから沖を眺めていた。 暗雲が垂れ込める浜辺。 快晴だったら天上天下唯我独尊とばかりにこのくすぶっていた己の邪念を爆発させることも出来ただろうに…… その人は浜辺を一瞥したのみ降り立つことなく何を思ったのかパソコンを取り出した。
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