鬼神

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――――――――――  勢いだけは良かった。 が、全力疾走がそんなに長く続くはずもなく―――― 「はあ、はあ。ちょっと、ちょうし、乗った……」  すぐに息切れし、既に肩で息をする状態にまでになってしまう。  ちょっと休もう。  僕は、走るスピードを徐々に遅くする。 そして、スピードが歩き程度の速さに減速した、その時だった。 「あ、お化けちゃん」  可愛らしい、少しおどけた声が、僕の後ろから聞こえてきた。 「お化けちゃん言わないで!」  そんな言葉に、僕はちょっと声を荒げる。 そして、まさに条件反射といったスピードで後ろを振り返った。 すると―――― 「ふふっ。ごめん、ごめん」 そこには、僕と同じ学校の制服を身にまとった女の子が立っていた。 「山城さん……。そのあだ名で呼ぶの止めてって何回言えば分かるんだよ」  彼女の名前は「山城 須芹(やましろ すせり)」。 僕の高校からの知り合いである。  ぱっちりとした目、ふっくらとした唇。 身長が150㎝程度しかないという小柄な体型にも関わらず、出るべき所は出ているという完璧さ。  彼女の肩下辺りまで伸びている、少し茶色掛かった髪の毛。 柔らかく毛先がカールしている艶やかなそれは、そよ風にふわりと揺れ、彼女の可愛さをより際立たせていた。 まさに美少女。 学校でもモッテモテ。
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