416人が本棚に入れています
本棚に追加
「硬い！
硬い！！
これはもはやベットではない、大地です！ 」
永遠に続くかと思われた草原地帯を抜け、たどり着いた冒険者の街ウォードシティー。
連日の野宿生活から開放され、待ちに待った宿屋のベットは、草原の土の上よりも硬かった。
「あんまり文句を言わない。
何泊もしないといけないんだから、お金もないし」
青髪の少女が呆れ混じりに言った。
『諦めろ』ということだ。
それはわかっている。
でも愚痴は言いたい。
「いや、でもこれはないって！
普通に作ってもこんなに硬いベットにはならない！
これはもはや、宿屋側の嫌がらせとしか思えない！ 」
「冒険者が使う宿なんて、普通こんなもの」
愚痴を言って少し落ち着いた。
が、しかし、これは何とかならないのか。
そんなことを考える。
「そんなに嫌なら、エレナが頑張って稼ぐしかない。
しばらく、この宿にお世話になるから、
ふかふかのマットでも買って敷けばいい」
「でも稼ぐってどうやって・・・」
「闘技場」
「そっか、闘技場で戦えばお金がもらえるのか」
「そう」
「ほんとにもらえる？」
「ほんとに」
「いよっし！やる気でてきた！
待ってなさい、ふかふか！」
エレナはモチベーションが大幅に上がった。
闘技場で戦うということは以前から聞かされている。
しかし、こんな危険なことをするのだから、
それに見合う意義、目的が欲しいところだ。
それにしても、闘技場の報酬とはいかほどか。
もしかして、上位のランクならばベットマットどころか宿屋ごと購入できるのでは？
ウォードシティーまでの旅では、旅の資金はすべてこの青髪少女に握られていた。
これからは、好きなものを好きなときに好きなだけ購入できる。
大人買いというヤツだ。やったね！
よし、まずは欲しいものリストを作ろう。
これを眺めることで、エレナのモチベーションを高いレベルで維持するんだ！
「ふかふかはいいけど、この街に来た目的は忘れてない？」
いつの間にかニヤニヤしていた顔を見られたらしく、
青髪少女が訝しげにそう聞いてくる。
目的は先ほど更新されましたので、今から発表します。
「いっぱい稼ぐ」
「ちがう」
「それで、そのお金を元手に豪遊・・・」
「・・・」
青髪少女は露骨にイライラしている。
でもイライラしている顔もかわいいよ。
《バコッ》
「痛っ」
最初のコメントを投稿しよう！