Chapter1 導入

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 とそんなことを考えていると・・・ 「では最初の授業をする」  唐突に授業が始まった。  これから闘技場に出向く私に、魔術の授業を実施してくれるのだろう。  この青髪少女は魔術の天才だ。  私はいまだこの少女より魔術の知識を持つ人間に会ったことがない。  間違いなく大事な話が聞ける。  聞き漏らさないようにメモを用意しよう。 「闘技場では1日に1人は死人が出ます」 「メモメモっと・・・ って、うおいっ」  青髪少女はさらっとそんなことを言ってのけ、さらに続けた。 「特に死にやすい人の特徴は、  闘技場初心者、  金目的、  魔法が使えない」 「全部当てはまるし」  驚愕の事実、私闘技場に向いてない。  これって、私は闘技場に行かずに宿に引きこもってろってこと?  まだ死にたくないですしね。それがいいね。  エレナはモチベーション・ゼロが発動した。  そんなことを考えていると、青髪少女が死の条件項目を1つ追加してきた。 「人の話を聞かない」 「それは当てはまらない」  即答。  ここで青髪少女の顔から彼女が次に言わんことを想像してみる。  『そんなふざけたこと言ってると、マジで死ぬぞ』  もしくは、  『なめんな』  辺りかな。 「当てはまるに変更します」  お詫びして訂正いたしました。  これで死の条件項目4つとも該当。  これ、私にどうしろと。 「・・・でもそれって私に、『死ね』って言ってるのと等価だよね」  ・・・。  もしかして本当に暗黙的に『死ね』って言われてる?  この後明示的に『死ね』って言われちゃうの?  怒らせすぎた? 「大丈夫。  いざとなったら私が助けに入るから」  これは頼もしい。  彼女ならどんな魔物が相手でも勝つだろう。  知識だけでなく、魔術戦闘の実力も折り紙つきだ。  これはここまで2人で一緒に旅をして良くわかっている。  20匹は超えたであろうワイルドウルフの群れを、  何匹いるのか数えている暇もなく爆発系の魔法で吹き飛ばし、  森で寝ているときに不死系モンスターの集団に囲まれたときも、  封印系の魔法で一瞬で浄化して無力化してしまった。  現時点で彼女は私史上最強。  これで私が闘技場で死ぬことはないはず・・・
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