背丈

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背丈

 幼馴染は昔っからとんでもないチビだった。  クラスどころか、幼稚園、学年でも一番のチビ。  本人は気にしてなかったけど、周りは何かとチビだとからかう。特に女子はそれが顕著で、幼馴染のよしみでアタシが庇うと、チビをチビと言って何が悪いのかとか、チビのことが好きなんじゃいのかとか、色んなことを言ってきた。  そりゃ、幼馴染だから、嫌いな訳じゃないけれど、恋愛感情なんてこれっぽっちもない。強いて言うなら、小さく頼りない弟を庇おうとするお姉さんの気分?  そんな使命感のような正義感のような気持で幼馴染と一緒にいたけれど、最近相手の背が伸びて、色んなことが変化した。  今まで悪口を言っていた子達が、幼馴染を熱っぽい目で見つめ、中には好きだと告白した子も何人かいたらしい。でも幼馴染はそれを全部断り、私にこう言った。 「あいつら、現金だよな。ちょっと俺の背が伸びたくらいでコロコロ態度変えて。その点お前は昔っから全然変わらなくて、一緒にいると安心する」  そんなふうに言って幼馴染は笑ったけど、えっと、あの…アタシもだいぶ見る目が変わっちゃってるんですけど…現金なことに。  でも、言ったら今みたいな仲良しの幼馴染でいられなくなっちゃうかも。  昔は見下ろしていた相手を見上げながら、そんなことを考える今日この頃。 背丈…完
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