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狂ってしまいそうなほど、愛してる。
零れ落ちる一滴の雫は、私の命を繋ぐ貴方からの愛の液。
私はそれを僅かも逃すまいと必死に口を広げる。
はしたなくもあるが、最早そんな事に構ってなどいられない。
この渇いた心に、貴方からの愛を。
僅かな量でも、少しでも早く。
舌を伸ばす。限りなく天へ、貴方へ、貴方の愛の液が流れ出るその場所へ届くように。
体のあらゆる場所に力を込めて、高く、高く舌を突き出す。
だけども決して届かない。
届かなくとも、手を伸ばしてはならない。
指先を一瞬伝うだけでは乾きは癒せないから。
ぴちゃり、と舌先に愛が零れる。
瞬間、乾ききったそこから電撃が、神経を通じて全身に走る。
液は舌先からだんだん下って舌の根へ、喉を通り胸の奥まで。
しかしたった一滴ではそこまでが限界。
すぐに乾いて、元よりもずっと苦しくなる。
昔の彼は、こんな人ではなかった。
彼から注がれたのは無尽蔵の愛。
尽きる事のない愛を何度も何度も全身に浴び、まさに私の体は彼の愛で出来ていた。
根が腐れてしまいそうなほどの愛。
過剰すぎる愛を注がれ、私は幸せの絶頂であった。
それがある日を境に変わり始めた。
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