狂ってしまいそうなほど、愛してる。

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 最初は気付かぬ程ささやかに、やがてそれと思った時には半分程に。  少ぅしずつ減っていく、愛。  薄々分かっていたのだ。  私以外の、愛を注ぐ存在を。  それでも、たった半分でも私は幸せだった。  本当はあの人が憎らしくもあったけど。  半分だって、私に注いでくれるのならば幸せ。  そう、自分に言い聞かせていた。  幸せだけを見つめようとしていた。  貴方の愛は、半分まで漸減し、そして半分で止まる事はなかった。  徐々にその半分、更にその半分、そしてその半分。  磨り減って、磨り減って、気付けばほんの僅かになっていた。  気まぐれで注がれる、貴方の微かな愛。  狂ってしまいそうだった。  それでも、私はもうそれ無しには生きられないのだ。  舌を伸ばす。限りなく天へ、貴方へ、貴方の愛の液が溢れる場所へ届くように。  体のあらゆる場所に力を込めて、高く、高く舌を突き出す。  だけれど、何度繰り返しても届く事はない。  あぁ、貴方がただ望んでくれれば、すぐにでも私はこの身を尽くすのに!  貴方はその事すら許してはくれない!  貴方の気まぐれに注ぐそれは、私の心を癒し、そして痛めつける。  まるで土漠のようにガサガサとささくれ立った私の心。  そこに僅かな液を注げば、数瞬湿り、そしてより強烈に乾く。     
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