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十三年間。
それは私達が離別していた年数。
私はその間に相応の年を取った。
しかし、彼も同様かと問われれば、首を傾げざるを得ない。
十五年前、二十代前半に見えた彼は、順当に行けば、現在は三十代後半ないしは四十歳前後と考えるのが妥当なところだ。
けれど、今隣にいる彼は、どうにも三十歳そこそこにしか見えなかった。
普通に考えれば、ただ若く見えているだけなのだろう。
世の中には、実年齢より十歳以上若く見える人などザラにいるのだから、彼がそうだとしても不思議はない。
だがもしも、それ以外のまったく別の可能性があるとしたらどうだろう。
例えば、長い年月を掛けて変化していく星空のように、彼の肉体もまた、普通の人と較べ、ごくゆっくりと老化しているのだとすれば?
(突飛な話だけど、それなら年齢を隠したがる理由も、なんとなくわかる)
根拠も何もない、単なる憶測……否、想像でしかないが、もしもこの憶測の通りなら、彼の実年齢は私の親と同年代の可能性もあるのだ。
実年齢を明かすことで、外見年齢との大き過ぎるギャップや、自分達二人の年齢差について、私が妙な意識(例えば、私が彼の年を知ってドン引きするとか、つれあいとして見られなくなってしまうとかだろうか?)を持つことを懸念していたとしても不思議ではない。
それに、彼が過去に偽名を使っていたのも、加齢速度の緩やかな人間が、社会に溶け込む為の手段であるとも考えられる。
……まあ、謎多き彼の場合、偽名を使った理由については、前述のそれだけとは限らないのだろうが。
(これらはすべて私の憶測であり、単なる想像に過ぎない。でも、もし万が一、これが事実なら、彼は――)
彼が辿るかもしれない未来を思うと、たとえ想像だとしても、胸が締め付けられる。
夜空に輝く数多の星。
彼が子供の頃に見た、『ごくありふれた』星空には、一体どれくらいの星が溢れていたのだろう?
そして、彼がすっかりおじいさんになる頃には、果たして空の星は、どれだけ残っているのだろうか?
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