第三章 絡みつく悪夢

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◇ 「閣下、第一便が到着致しました」  ハウプトマン大佐が装備を積んだ船がベイルート港に入港したと報告を上げて来た。  第一便とわざわざ言っているのだ、他にも届くのだろう。 「そうか。まだ使うのは少し先か」  戦闘団に補給するのは見送る、カマール大隊も今はまだ充足率が高いので不要だ。  倉庫にでも積んでおけと指示しようとする前に、サルミエ少佐が割り込んで報告をする。 「ルワンダ並びにドイツより、亡命シリア人がレバノン入しています。現在待機中」 「ドイツから?」  ルワンダはまだわからなくもないが、どうしてドイツなのかと問う。 「オッフェンバッハ総裁の要請で、ベッケンバウアー議員が志願を募ったものです」  ベッケンバウアー議員とはブッフバルト少佐の義父だ。  夫が支持するクァトロを妻も支持し、親もまた支持した。  ドイツは第二次世界大戦以後、難民の一大流入地になっている。 「戦闘部隊として使うことが可能か」 「半数は前線を志願しています」  残る半数は信頼度そのものが懐疑的だと注意を促す。
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