第七章 国際自由大隊

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◇  アレッポ北東六十キロ、マンピジュ市。国際自由大隊の一団がそこに駐屯していると聞かされ、輸送トラックに揺られてマリーは単身やって来ていた。  来る途中、スレイマン墓地傍の一本橋を渡る際にYPGの検問を受けるが、支部で作成した証明書が早速役に立つ。 「人口数万ってとこか」  大通りの先にずっとコンクリートの建物と畑が続いていて、トラックがゆっくりと市街地を進む。  左手に小学校のようなものが見えてくると、すぐ手前に集積所のような場所が現れる。  トラックが複数止まっていて、その奥には円形で鉄製のコンテナのような、サイロのようなものが見える。 「あれは何だ?」  同じトラックに乗っている兵士に英語で尋ねるも、誰一人として言葉を理解しないようで首を振っていた。 「……本気で参るなこりゃ」  言葉で困ったことなど暫くは無かったが、ニカラグアでクァトロを興した直後を思い出す。  あの頃はスペイン語を必死に学んだもので、単語帳を持ち歩いていたものだ。  中央分離帯を挟んで右手、北側に運動場なのかヘリポートなのか広い平面が見える。
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