1459人が本棚に入れています
本棚に追加
/914ページ
◇
アレッポ北東六十キロ、マンピジュ市。国際自由大隊の一団がそこに駐屯していると聞かされ、輸送トラックに揺られてマリーは単身やって来ていた。
来る途中、スレイマン墓地傍の一本橋を渡る際にYPGの検問を受けるが、支部で作成した証明書が早速役に立つ。
「人口数万ってとこか」
大通りの先にずっとコンクリートの建物と畑が続いていて、トラックがゆっくりと市街地を進む。
左手に小学校のようなものが見えてくると、すぐ手前に集積所のような場所が現れる。
トラックが複数止まっていて、その奥には円形で鉄製のコンテナのような、サイロのようなものが見える。
「あれは何だ?」
同じトラックに乗っている兵士に英語で尋ねるも、誰一人として言葉を理解しないようで首を振っていた。
「……本気で参るなこりゃ」
言葉で困ったことなど暫くは無かったが、ニカラグアでクァトロを興した直後を思い出す。
あの頃はスペイン語を必死に学んだもので、単語帳を持ち歩いていたものだ。
中央分離帯を挟んで右手、北側に運動場なのかヘリポートなのか広い平面が見える。
最初のコメントを投稿しよう!