第十章 アレッポ攻囲戦

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 半死半生の敵に止めを刺していく。ここは戦場で、相容れないものが敵、情けは互いの為にならない。  トランプ中尉がやって来てモスク内を一瞥すると「よくやったマリー曹長」短くねぎらう。 「反省点があり素直に言葉を受け取れませんが、部下は良くやってくれました。是非彼等に声をかけてやってください」  思い起こせばもっと上手い事運ぶことが出来た箇所が幾つもあったと首を横に振る。何せ完全に満足してしまえばそこまで、向上心を常に持ち続けている。 「勉強熱心だとしておこう。戦いはまだ始まったばかりだ、公道交差点の警備に行くぞ」 「サー イエッサ!」  マリーは初めてトランプ中尉の笑みを見た。満足いく結果を得られたことが喜ばしいらしい。  既にエルドアン大尉が交差点警備に部隊を動かしていたので、車両の回収と後方警戒の任務に就く。  YPG本隊が交差点を北へ折れていくのを見届けると、三か所の部隊も集合してクルド人支配地域へと向かうのであった。
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