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手持ちがないならばある物を利用すればよい。それが味方かどうかは問わない、敵が一時的に対応力を弱めればそれで満足だ。
「グロック准将はアメリカ軍が適度に空爆をするよう背を押せ。そのうえで日時を掴み、こちらの作戦を相乗りさせるぞ」
少しの間黙っていたが、及第点を貰えたようで口元を緩める。
「……大分司令官というものが解って来たようだな、任せておけ」
「お褒め頂き恐悦至極に存じますってな」
おどけて島もそう返答する。二人は来た時同様に揃って部屋を出て行った。
廊下を出て分岐路まで来るとハウプトマン大佐が隣を歩いているグロック准将に語り掛ける。
「アンリの希望の種はこうも大きく花開いたか」
「ふん、ヴァルターのでもある。俺はニカラグア内戦で危うくあいつを失いかけた、今度はそんなヘマをするものか」
かつて既存の軍隊に疑問をもったことがある、理想を追い求め見つけられず退こうとした時、ついに現れた希望が島だ。
「ああ、そんなことは絶対にさせん。全力で支えてみせる」
二度とないだろう素材が自分たちを使いこなすまでに成長した。命を張り代わりに死すことになろうと、一切の躊躇は無い。互いに大きく頷くと別々の方向に足を踏み出した。
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