第二章 中東紛争参戦

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 共同墓地から出て来る男、壮年と中年の二人組が目の前を歩いている。 「あのカフェで一服していこう」  赤い屋根の軽食屋を指す。墓参りをしていただろうムスリムもそこへ入った。  席が半分位埋まっていて、まあまあの入りと言ったところだろうか。  貫頭衣の男性店員がやって来て「お決まりですか?」アラビア語で話しかけて来る。 「フランス語は出来ますか?」 「はい」  ヌル少佐がアラビア語を解さないので言語の切り替えを求めた。ムスリムの多くはアラビアンということでまずはといった感じだったのだろう。  コーヒーを注文する。  ややすると銀のポットに小さめのカップがトレーに載って現れた。豆の香り以外にもスパイスが入っているようで複雑かつ芳醇な香りが漂う。  注いでみると色は薄かった。どれどれと一口。 「ほぅ、マイルドで鼻腔をくすぐる香りが良いな」  苦みは殆ど無い、これがアラビアンコーヒーだ。 「若いの、これを飲むのは初めてかね」  隣に座っている客――先ほどの墓参りの二人のうち、年配の男が話しかけて来る。年の頃は還暦手前位だろうか。
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