第二章 中東紛争参戦

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 先ほどの店員とのやり取りで気を使ってかフランス語でだ。 「はい。世界各地で色々なモノを飲んできましたが、香りの面ではこれが一番ですね」  お世辞ではない、風味に特化しているのが島には良く分かった。 「それは嬉しいですな。ここの豆は希少なイエメン産で、特に良いものを使っている。解ってくれる人物に飲んでもらえて豆も喜んでいるだろうさ」  人懐っこい笑みを浮かべて自らも一口傾ける。 「モカでもやはり最高の味わいでした、何でも本物は良いものです」  世界制覇まであとわずか、そうレティシアと話をしていたのを思い出してしまった。 「旅行ですか」 「だったら良いのですが、ビジネスです。もっとも利益を上げるような類ではなく、そうですねコンサルタント業務のようなものです」  言葉を選んで曖昧に答えておく。島自身、どのような仕事かと考えてみても近いのはそれだろうと信じている。 「そちらの彼は仕事仲間ということですか。私達は友人の墓参りです」  連れの男は何も喋らずに背筋を伸ばしたままだ。  ――お付きの者って感じか、歳も一回り以上離れてるだろうな。
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