第二章 中東紛争参戦

10/41
前へ
/914ページ
次へ
「ハラウィ中佐、大隊の任務は」  他に人物が居るので呼び方を改めてそう話しかける。 「対シリア紛争、そう定めました」  じっと島を見詰める、戦功を上げさせろと言っているのが伝わって来る。  ――航空部隊、ヘリの数機も装備か。レバノン人部隊、越境は戦争を招くが。  とは言え何事もプラスを打ち出せば不問というのが世界の常識でもあった。 「シリア国内へ入れるよう準備をするんだ。シリア政府と敵対する武装勢力から居留レバノン人を保護するという名目あたりが良いだろうな」  時には政府軍そのものから守ることもあるだろうが、敢えてそのように強調することで駆け引きを産み出す。 「余剰装備は現地で処分も可能です。では自分はこれで」  ハラウィ中佐が敬礼するのに倣って三人も同じ動きをした。  黙って頷いて彼らを見送る。  ――何とか報いてやりたいが、俺は外様だ。譲ってやれる戦果があればそうしてやろう。  望まぬとも戦闘は必ず起きる。功績を奪い合うのでなく譲るというならば、諍いも無く上手く行くはずだ。
/914ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1461人が本棚に入れています
本棚に追加