第十五章 クァトロの暗躍

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 政府軍に対抗出来るのはクルド人の大集団と自分達だけしか居ないと信じていたのに、細かい勢力の奴らが大連合とは首を捻りたくもなる。 「報告でも報道でもアイン=ラサを攻めていたのは黒い部隊。ではダイルアッザウルを攻めたのがどこの部隊かの情報はないのか?」  都市を攻められる程の大兵力を有しているならば、何かしら情報があって然り。それなのに大幹部のこの場の面々が知らないのが異様で仕方ない。  ひとつ気になっていることを結び付けて、やや控えめに発言する。 「イラクとの国境にある検問所、そこの勢力を攻めた時に、想定外の反撃を受け撤退したと現地司令官が報告してきたが……」  シリア国内に居るならば、アメリカの軍隊ではない。そんな姿が見つかってはアメリカ議会でベトナム戦争の二の舞だと叩かれて、次の選挙で大敗の恐れがあるからだ。  どこか強国の特殊兵なのかと考えてみるが、イラクとの国境近くに陣取る意味が今一つ見えてこない。 「そこだが、最近になりタリハール・アル=シャームが詰めていると聞く」
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