第二章 中東紛争参戦

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 副官デスクの内線が呼び出しを告げる。二人のやり取りを横目にサルミエ少佐が応対した。 「ボス、面会者があります。ド=ラ=クロワ大佐の紹介状を持っているようですが別室に待たせましょうか?」  何かを指示する前にハウプトマン大佐が島の右後ろに居場所を移した。 「構わん、通してくれ」  許可を与えるとサルミエ少佐も島の左隣へと立った。  程なくして出入り口に褐色の肌の軍人が現れ、三人の目の前にまで進み出る。 「イエメン軍テロリスト対策副本部長ウマル中佐であります!」  モカ港の喫茶店で顔を会わせていたのを思い出す。 「こんなところまで良く来てくれた中佐」  ウマル中佐が眉を寄せて島を見る。あの偽装入国者が今度はレバノンのホテルで中将の階級章をつけて目の前にいる。  あれから数年だ、将軍になっているのは不自然とも言えないが、それにしたって違和感はあった。 「いえ。ド=ラ=クロワ大佐より中東の安定に力を貸して欲しいと要請されました」  イエメンが紛争真っただ中でテロリストと争っている、こんな場所に居るような暇はないはずだが。
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