第二章 中東紛争参戦

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◇  イラン北西部、ファルージャから二百キロ圏内。アブー・カマール周辺を偵察中にコーバジェップという小さな町を横切る。  湿気が殆ど無い乾いた土地。  岩と小石と細かい粒子の砂、あるのはそれだけ。どうやって人が生きていけるのか、想像できないようなところにも町はあった。 「偵察部隊より本部、イスラム国らしき集団を発見」 「詳細を探れ」 「ダコール」  軽車両が四台だけ離れ町が見える場所へと移る。ストーン中尉が双眼鏡を使い豆粒のような人を確認した。 「ストーン中尉より本部、歩兵が集落に攻撃中。反撃は微弱」  守備隊が居るわけでもなければ、反対勢力が囲っている町でもないようで一方的に攻め込まれているようだ。  向こうが偵察部隊に気づいている可能性は薄いだろう、見張りも立てていない。  人は優位に立つと途端に警戒心が薄れるからだ。 「マリー中佐だ、歩兵の数は」 「凡そ二十、小銃で武装しています」  逆に言うならば小銃を持っている程度で他に報告すべき内容が見当たらない。  これ以上ない位の軽装だった、ここは戦場ではないのでそれが当然なのかも知れないが。
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