第十八章 百勢力大乱戦

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 国家を動かすには僅少ではあるが、発言力がある個人を買収するにはありあまる金額ということだ。反政府の扇動家や、大統領や軍の上層部のスキャンダルを追っているジャーナリストの軍資金につぎ込まれると、強硬的な意見が引っ込んだりする。  戦争とはあらゆる力を競い合う、総合力の戦い。個人が金を得るために足並みを乱して「我等はこの地から撤退する」などと宣言しようものなら包囲の崩壊は早い。 「シリアに於いて、アメリカが支援する対イスラム国の民兵組織を攻撃するものは、アメリカの敵として捉えることがある」  国務次官補が声明を発表する、名指しこそしないがロシアに対する牽制なのはあきらかだ。あるいはトルコに対する恫喝ともとれるが。  北東部に空爆を行ったロシア軍、相も変わらずそこにテロリストがいたから爆撃したと言い張っていた。抗議など素知らぬ顔で受け流しておしまい。これだけ言われても反応は無い。  共通の敵がイスラム国なだけ、それ以外は同じ部分を探すのが難しい程の並列した勢力。いずれ今日の友は明日の敵になりかねない。
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