第十八章 百勢力大乱戦

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 まだだと言われるのは承知で、一種の雑談である。各種の戦闘車両は満載補給状態でいつでも戦うことができる、それも七十二時間は。数字にも理由はある、事態をききつけて緊急展開軍がやってくるまでは四十八時間という線があるから。  独力では無理だと判断して後、二日戦闘を継続できるだけの物資があれば、世界中どこに居ても援軍が見込める。アメリカ基準ではそういうことになっていた。 「命令は無い、待機だ」  面白みを求めるわけではないが、マリー中佐に比べると口数も少なく事務的。軍隊だ、それは称賛されることかもしれない。  ラ米育ちで馴染まない部分はあるが、ビダ先任上級曹長もそれは理解していた。 「フィル、もう一度想定をすりあわせよう」  今度は隣に侍っているもう一人の先任上級曹長に話しかける。二人の部隊先任、戦闘団を動かすための頭脳が司令だとするならば、こちらは神経といったところ。 「はい。南西部、タリハール・アル=シャームのそばを通り市街地中央を目指す。分隊は河の南部を迂回して、橋を渡って中央を」
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