第十八章 百勢力大乱戦

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 狭い市街地を集団で走るのは利点より欠点が目立つ。半数に別れても攻撃力に遜色は見られないことからも、異なった場所から攻める戦略性を拾うことにした。  主軍は当然ブッフバルト少佐率いるA軍で、B軍はドゥリー大尉率いる側面攻撃隊。とある事情でクァトロは通過する二カ所の勢力の友軍として見られるだろう話だ。それが良いのか悪いのかは分からないが、戦場ど真ん中まではさほど時間が掛からない。 「四月七日公園、そこに司令部が設置されているはずだ。そちらは西のシリア国際病院側から、こちらはシリア国際イスラム銀行がある南側から進んで挟撃する」  ブッフバルト少佐の先任下士官であるフィル先任上級曹長は西側から、一方で戦闘団先任下士官ではあるが今回はドゥリー大尉の先任下士官としてビダ先任上級曹長が補佐に入る。  命令系統が入れ替わったので繰り下げの形になってしまっているが、彼等にはなんの恨みも妬みもない。最善を目指すことを是とする精神のみだ。 「公園周辺の五つのモスクが例によって敵の防御拠点でしょうね」  人が集まって何かをすることに丁度良い施設でもあり、士気高揚の一助にもなる。モスクが戦場になるのは実際のところどうかと思うが、彼らにしてみれば聖戦なのだ本望なのだろう。
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