第三章 絡みつく悪夢

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「ハマダ大尉、ゴンザレス中尉の二個部隊です」  じっとグロック准将を見詰めて報告の続きを促す。 「アブー・カマール西数十キロで、イラクよりシリアへ向かうイスラム国の輸送部隊を発見、これを攻撃し撃破しました」 「規模は」 「トラック多数、戦闘員四百から五百という一報があったようです」  情報を小出しにして教育の一環として場を利用する。二つ目の罠を置いているのは明白だ。  ――後方に居ようと戦闘の感を鈍らせるなとの、有り難いお心遣いが透けてみえるよ。輸送部隊がトラックを伴っているのは理解できる。イラクから物資を運ぶなら、イラク北部の部隊へだろうがそうではなかった。つまりは……。  答えを出すのに時間制限があるのは戦場では常識だ、マリー中佐に遅れていては引退を考えなければならなくなるだろう。 「トラックで奴隷を運んでいたわけか。マリー中佐から扱いをどうするかの上申は」  島に言われる前に答えに辿り着けていたのはハウプトマン大佐だけ、正解を知ってから問題の意味を理解出来れば今は充分だ。
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