第三章 絡みつく悪夢

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「解放して良いか、と」  元々捕虜ではなく略奪により捕えられた女性だろう、それを拘束する意味などクァトロには無い。  問題はどのように解放するかだ。 「これは一つの分岐になり得る。意見を聞きたい」  ――はいどうぞと自由にしてすむ話ではないぞ。  マリー中佐も解っていて上申してきている、その証拠に島に直接報告をしなかった。  重大な選択肢になり得る素材を命を懸けて手にした戦闘団に感謝をしなければならない。 「ハディーサ市、キム市とファルージャ市の丁度中間にある川沿いの街が、先日イスラム国の襲撃を受けました。多数の行方不明者を出しております」  そこが出どころだろうとグロック准将が過去情報をあててきた。  ――今後無関係な出ではないわけだ。それに誰が取り返したかも問題になる。  あっさりとクァトロの介入を世間に広められては大事だ。  しかし人の口に戸板は立てられぬ、生かして返せば必ず噂が広がるもの。 「シリア南東はシリア民主軍が多く居ります、それにイスラム戦線が。双方合わせると五十やそこらの司令部があるはずです」  ハウプトマン大佐も別方向の情報を差して来る。
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