第三章 絡みつく悪夢

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◇  ――ひとつやるべきことはやった。  グロック准将の作戦案を承認し、そのまま実行するよう命令を下した。  足元を固めるのは皆に任せ、今度は島自身がやるべきことへと意識を向ける。 「サルミエ、ヘリを用意しろ」 「ウィ」  インターコンチネル・ベイルートホテルの屋上、ヘリポートに中型の汎用ヘリが待機する。  クァトロの正装軍服に着替えるとヘリへと乗り込む。  操縦士はモネ大尉、島中将を迎えて敬礼した。 「またタクシー代わりで悪い」 「お気になさらずに。閣下と共に在れて光栄に思います!」  クァトロという集団に雇われてから時が流れ、少なからずいくつかの国の歴史に影響を与えてきた。  当時はそんなことなど想像すらしなかったが、今は違う。きっとまた大きなことを為しに行くのだろうと感じている。  離陸すると首都の軍管制へ「クァトロ、クァトロ」それだけを発信した。  演習、はたまた慣熟飛行訓練の名目でレバノン軍からガゼル戦闘ヘリが二機飛来すると前後を守るように位置する。  三機は西へと飛び続け、やがて海上へと出た。
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